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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月11日

マンツーマンの塾で講師との相性は成績に関わるのか|教師と生徒の関係の質の研究

99研究をまとめたRoordaら(2011)では、教師と生徒の関係は、学力よりも学習への取り組みと強く結びついていました。武蔵境で学ぶ場所を探し、個別ブースで講師と向き合う子どもを思い浮かべると、話しやすい相手かどうかが気になります。楽しそうに話せることと、わからない問題を聞き返せることは、同じなのでしょうか。

この記事の要点
  • 教師と生徒の関係は、学力以上に意欲や授業への参加と結びついています。
  • 関係と成績の関連には、学習が進むことで取り組みが変わる逆方向もあります。
  • 仲の良さだけでなく、聞き返せるか、説明を使えるか、課題の負担を相談できるかを見ます。
  • 合わないという訴えは、子どもの性格ではなく、具体的なやり取りから確かめます。
  • 家庭では点数と授業中の様子を別々に記録し、変えたい条件を絞ります。

マンツーマンの塾で講師との相性は成績に関わるのか|教師と生徒の関係の質の研究

99研究をまとめたRoordaら(2011)では、教師と生徒の関係は、学力よりも学習への取り組みと強く結びついていました。武蔵境で学ぶ場所を探し、個別ブースで講師と向き合う子どもを思い浮かべると、話しやすい相手かどうかが気になります。楽しそうに話せることと、わからない問題を聞き返せることは、同じなのでしょうか。

講師との関係は成績に関わる要素ですが、選ぶときは「気が合う」という印象を、質問・理解・課題への取り組みに分けて見ることが大切です。 子どもの「話しやすい」は大事な手掛かりですし、「聞きにくい」という言葉も受け止めたいものです。そのうえで、説明を聞いた後に自分で考えられたか、困ったときに助けを求められたかまで聞くと、次に変えたい点が具体的になります。

保護者が求めるのは、会話が弾むだけの時間でも、点数だけで評価される時間でもないでしょう。安心して疑問を出せて、学ぶ内容にも向き合える関係を見たいところです。ここからは、研究が測った関係の質を読み解き、家庭で子どもの言葉を聞くための観点につなげます。

要点

  • 教師と生徒の関係は、学力以上に意欲や授業への参加と結びついています。
  • 関係と成績の関連には、学習が進むことで取り組みが変わる逆方向もあります。
  • 仲の良さだけでなく、聞き返せるか、説明を使えるか、課題の負担を相談できるかを見ます。
  • 合わないという訴えは、子どもの性格ではなく、具体的なやり取りから確かめます。
  • 家庭では点数と授業中の様子を別々に記録し、変えたい条件を絞ります。

相性を「好き嫌い」から学習中のやり取りへ分ける

「講師と合う」という言葉には、いろいろな意味が入っています。穏やかな声で話すので落ち着く、趣味の話が通じる、説明の順番が追いやすい、といった違いです。どれも本人にとって意味がありますが、学習を支える仕組みはそれぞれ異なります。相性をひとまとめにすると、何が助けになり、何が妨げになっているのかが見えにくくなります。

研究でいう関係の質も、同じ趣味や似た性格だけを指す言葉ではありません。Roordaら(2011)は、教師と生徒の感情面での関係を、肯定的な関係と否定的な関係に分けて検討しました。親しさや支えを感じる面と、衝突などの面を区別し、学習への参加や学力との関連を調べています。家庭でも「好きな講師か」に加えて、「困った状態を見せても話を聞いてもらえるか」という観点を持つと、学習中の出来事に近づけます。

たとえば、説明を聞き終えてうなずく子にも、内容をつかんだ場合と、話を止めるのをためらった場合があります。帰宅後に「わかった?」と聞くだけでは、その違いが表れにくいでしょう。「どの説明で先に進めたか」「どこで手が止まったか」と尋ねると、本人が思い出す対象が具体的になります。答えがすぐ出ないときは、使った問題やノートを一緒に見ながら待つ方法もあります。

相性の確認は、講師を人柄で採点するための作業ではありません。子どもが学びやすい応答の仕方を見つけ、困りごとを伝えるための作業です。「優しくしてほしい」だけで終えず、「考えている間は少し待ってほしい」「説明を短く区切ってほしい」と言える形にすると、調整の方向が見えます。本人の感覚を尊重することと、具体的な行動を見ることは両立します。

成績よりも取り組みとの結びつきが強い

Roordaら(2011)は、就学前から高校段階までを含む99研究をメタ分析でまとめました。ここで使うメタ分析は、個々の研究で得られた関連の結果を集め、統計的にまとめ直す方法です。肯定的な関係と否定的な関係のどちらも、学習への取り組みとの関連は中程度から大きく、学力との関連は小さいものから中程度でした。ここでの比較は、関係の質の違いと学習の様子の違いを対応させたもので、講師を替えた組と替えなかった組の実験ではありません。

Cornelius-White(2007)は、学習者を中心に据えた教師と生徒の関係について119研究を統合し、平均の相関をr = .31と報告しました。相関とは、一方が高いと他方も高い傾向を表すもので、原因かどうかとは別の指標です。対象となる成果には、知識などの認知面に加え、感情や行動の面も含まれています。この平均値を、そのまま成績だけの伸びの大きさとして読むのは誤りです。

家庭で考える際には、点数の前に起きる変化を見ると整理しやすくなります。聞き返すようになった、間違えた途中式を見せるようになった、わからないまま課題を閉じることが減った、といった変化です。それらは学習に向かう様子であり、正答できる範囲が広がったこととは区別して記録します。関係の良さを感じているのに点数が動かないときも、どの段階で止まっているかを探す材料になります。

よく言われること 研究で示されたこと 比べた相手・観点 対象
仲が良ければ成績も大きく上がる 学力より取り組みとの関連が強い 関係の質と参加・学力の違い 就学前から高校段階、Roordaら(2011)
子どもを尊重する関係は学習を支える 認知・感情・行動の成果と正の関連 学習者中心の関係と各成果の対応 複数の教育研究、Cornelius-White(2007)
関係が先に変われば後は自然に伸びる 取り組みを介する経路と逆方向がある 同じ児童の以前と後の状態 米国の学習上の困難が懸念される児童、Hughesら(2008)

関係から成績へ向かう道は一方通行ではない

Hughesら(2008)は、米国テキサス州で学習上の困難が懸念される671人を、小学1年から3年間追いました。教師との関係、努力して学習に取り組む様子、読みと算数の学力を毎年測っています。関係の質が後の取り組みを介して学力と結びつく経路がおおむね支持され、学力から取り組みへの逆方向も含めて検討されました。前の状態を考慮しながら、同じ子どもの変化をたどった研究です。

この見方を使うと、「講師が好きだから勉強する」という説明に加えて、「少し解けるようになったので勉強に向かいやすくなった」という流れにも目を向けられます。学習が進むことと、取り組む姿勢と、相手への信頼がつながって動くという理解です。点数が低い原因をすべて相性に集めると、問題の難しさや説明の進め方を見落とします。反対に、子どもが安心して質問できるようになった変化も、点数だけを見ていると拾えません。

Quin(2017)は、思春期の生徒の学校への関与を扱う46研究を整理し、そのうち13研究は時間を追って調べる縦断研究でした。個人・家庭・学校・教師に関わる条件を統計的に考慮しても、関係の質と学校への関与との関連が残っていました。その結論は、教師との関係には重要な役割がある一方、ほかの要素も関わるというものです。関係が良ければ、学習内容や生活上の条件まで自動的に整うという話ではありません。

子どもが「最近は話しやすい」と言ったら、何が変わったのかを聞いてみます。説明の速度が合ったのか、以前より解ける問題が増えたのか、間違えても続きを考えられたのかで、支える方法が変わります。保護者の記録にも、感想と学習の出来事を並べて残すとよいでしょう。原因を急いで決めるより、変化が起きた順番と場面を確かめる姿勢が役立ちます。

楽しいのに進まないときと、緊張して聞けないとき

ここからの例は、研究で確定した危険の順位ではなく、家庭で調整点を探すための観点です。まず見たいのは、会話の楽しさが学習に戻る助けになっているかです。子どもが気持ちよく話せても、問題を自分で考える場面が残っていなければ、説明後の理解を別に確かめる必要があります。話が弾んだことと、解き方を自分の言葉で説明できたことを、同じ評価にしないようにします。

反対に、緊張が強く、わからないと言えない場合は、正答数を比べる前にその困りごとを聞きます。考えている途中に返事を急がされる子には、待つ時間を相談するという選択があります。口頭で質問をまとめにくい子なら、止まった箇所に印をつけて示す方法も候補です。話す量を増やすことだけを目標にせず、本人が疑問を表せる形を探します。

「厳しいから伸びる」「優しいから伸びない」といった区分も、実際のやり取りに直して考えます。間違いの理由を確かめて解き直しを求めることと、間違えた本人を責めることは別です。子どもが難しい課題を嫌がったときも、内容の負担と、講師の反応への不安を分けて聞きます。何を直せばよいかが伝わる応答かどうかに目を向けると、口調の印象だけで判断せずに済みます。

注意したいのは、関係を良くしようとする働きかけが、本人の負担になる場合です。話したくないことまで毎回尋ねたり、親しさを示す返答を求めたりすると、子どもに合わせるための確認が別の課題になってしまいます。静かに考えたい子には、会話を増やす方法が合わないことも考えられます。保護者は「もっと仲良くなって」と促す前に、今のやり取りのどこがつらいのかを本人の言葉で受け止めます。

家庭では感想・理解・負担を別々に記録する

確かめる順番は、まず子どもの感想を聞き、次にその日の具体的な出来事を見る流れです。「楽しかった」「疲れた」という答えを訂正せず、そう感じた場面を尋ねます。授業の内容を細かく報告させるより、印象に残った問題や説明から話してもらうほうが取り掛かりやすいでしょう。保護者の評価は後に置き、本人の言い方を短く残します。

次に、理解と課題の負担を分けて見ます。説明中は納得していても、手本を閉じると解き方を選べないなら、説明後の練習に目を向けます。宿題が進まない場合は、量が多いのか、始め方がわからないのか、途中で質問が必要になったのかを聞きます。「講師と合わない」という言葉の中に、課題の条件への不満が入っていることも考えられます。

確認を続けるときは、次の項目を必要なものだけ使います。毎回すべてを聞く必要はなく、本人が負担なく話せる範囲で十分です。記録の目的は親が授業を監視することではなく、相談したい点を具体化することにあります。

  • 聞き返したい箇所を、言葉やノートで示せたか。
  • 説明の後に、自分で考える場面があったか。
  • 間違いに対して、次に直す部分が伝わったか。
  • 宿題の途中で止まった理由を伝えられたか。
  • 相談した困りごとに応じて、進め方が変わったか。

調整するときは、「もっと合うように」より「説明を区切る」「質問をメモで示す」など、行動として見える内容に絞ります。その後は、前に困っていた場面がどうなったかを振り返ります。関係の感想と学習の結果を別々に見れば、話しやすさは改善したが理解の支援はまだ必要、といった整理ができます。点数が上がるまで不安を我慢させるのではなく、今の困りごとに応答があるかも判断材料にします。

続けるか見直すかは、応答の変化から考える

相性の判断で迷うのは、どんな相手にも慣れる時間が必要なのか、それとも早めに環境を変えるべきなのかという点でしょう。そこでまず、子どもの訴えを具体的な依頼に直したとき、相手がどう応じるかを見ます。聞き返す合図を決めたり、課題の途中で止まった箇所を共有したりして、学習の進め方が調整されるかを確かめます。「合う人か」という固定的な評価に、関係を整えられるかという観点を加える方法です。

記録を見直すときには、続ける理由も変更する理由も具体的にします。「楽しそうだから続ける」なら、楽しさが質問や課題への取り組みにつながっているかまで添えます。「合わないから変える」なら、説明の速度、返答を待つ姿勢、相談への応答のうち、何を求めるのかを言葉にします。次の環境でも同じ曖昧な判断を繰り返さないために、子どもに必要な条件を残しておきます。

子どもと保護者の評価が違う場合も、どちらかをすぐに退ける必要はありません。本人は話しやすさを評価し、保護者は家で解けないことを気にしているなら、見ている面が違います。本人の安心を大切にしながら、理解を確かめる方法も相談するという選び方ができます。子どもの意見を聞くことは、選択の責任をすべて子どもに預けることでもありません。

結びに、子どもへ向けた問いを用意します。「わからないとき、どんな聞き方なら伝えやすい?」「どんな説明の後なら、自分で解けそう?」「宿題のどこで困り、どんな助けがあると進められそう?」と尋ねます。答えをそろえることより、今の負担や助けになった応答を知ることが目的です。その声を踏まえ、次の学びを支えるために、どの条件を選びますか。

よくある質問

子どもが講師を好きなら、成績も上がると考えてよいですか

好きだと感じる理由を聞き、質問や学習への取り組みにつながっているかを見ます。Roordaら(2011)が示したのは、関係の質は学力よりも取り組みと強く関連するという結果です。話しやすくなった様子と、自分で解けるようになった内容を分けて残しましょう。会話の楽しさを大切にしながら、説明後の理解にも目を向けると、続けたい点と調整したい点を両方伝えられます。

合わないと言ったら、すぐ講師を替えるべきですか

まず、どの場面で何がつらかったのかを聞きます。説明の速さや質問の仕方なら、希望を伝えて応答を見るという選択があります。責められるのが怖い、困りごとを話しても取り合ってもらえない、と本人が感じている場合は、我慢を前提にせず保護者が相談を担います。変更を考える際も、次に必要な条件を本人と確かめておくと、単なる好き嫌いの判断で終わらせずに済みます。

宿題が進まないのも相性の問題ですか

宿題が止まる理由を、量、難しさ、始め方、質問の必要性に分けて見ます。説明を理解していても予定に収まりにくい場合と、最初の問題から手が止まる場合では、相談する内容が違います。終えたかどうかに加え、どこまで自力で進めたかを伝えると、調整を頼みやすくなります。困った状態を隠さず話せて、その話が課題の出し方に反映されるかという点に、関係の質を見る手掛かりがあります。

この記事の限界

測定されているのは、主に海外の学校での教師と生徒の関係や、参加・学力の指標であり、趣味や性格が合うことだけではありません。引用した研究は学校の幅広い年齢層や米国の小学校低学年などを対象とし、日本の塾のマンツーマン指導で関係を変えた効果を直接測ってはいません。

研究ごとに追跡期間や測り方が異なり、相関の統合や縦断的な関連から、講師を替えればどれだけ成績が動くかを決めることはできません。質問への強い不安が学校生活にも続く場合は、塾での相性だけに絞らず、学校の先生や相談を担当する専門家と具体的な場面を共有する必要があります。 次に子どもと話すとき、「わからないと言えたか」「説明後に自分で進めたか」「宿題の量は生活に収まったか」を、それぞれどの場面から確かめますか。

参考文献

  1. Roorda DL, Koomen HMY, Spilt JL, Oort FJ. The Influence of Affective Teacher–Student Relationships on Students’ School Engagement and Achievement: A Meta-Analytic Approach. Review of Educational Research. 2011;81(4):493-529. doi:10.3102/0034654311421793
  2. Cornelius-White J. Learner-Centered Teacher-Student Relationships Are Effective: A Meta-Analysis. Review of Educational Research. 2007;77(1):113-143. doi:10.3102/003465430298563
  3. Hughes JN, Luo W, Kwok OM, Loyd LK. Teacher-student support, effortful engagement, and achievement: A 3-year longitudinal study. Journal of Educational Psychology. 2008;100(1):1-14. doi:10.1037/0022-0663.100.1.1
  4. Quin D. Longitudinal and Contextual Associations Between Teacher–Student Relationships and Student Engagement: A Systematic Review. Review of Educational Research. 2017;87(2):345-387. doi:10.3102/0034654316669434

わからなくなった単元まで、講師と二人で戻ってやり直す。

  • 向く人: 集団授業で質問できないまま進み、どこでつまずいたのか分からなくなった中学生・高校生
  • 向く人: 苦手な科目を、つまずいた単元まで戻って一対一でやり直したい人
  • 向かない人: 大勢と競い合う中で力が出る子や、集団授業の速い進度を求める人
  • 向かない人: 塾に通うだけで成績が変わると考え、家で手を動かす時間を取れない人

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よくある質問

子どもが講師を好きなら、成績も上がると考えてよいですか

好きだと感じる理由を聞き、質問や学習への取り組みにつながっているかを見ます。Roordaら(2011)が示したのは、関係の質は学力よりも取り組みと強く関連するという結果です。話しやすくなった様子と、自分で解けるようになった内容を分けて残しましょう。会話の楽しさを大切にしながら、説明後の理解にも目を向けると、続けたい点と調整したい点を両方伝えられます。

合わないと言ったら、すぐ講師を替えるべきですか

まず、どの場面で何がつらかったのかを聞きます。説明の速さや質問の仕方なら、希望を伝えて応答を見るという選択があります。責められるのが怖い、困りごとを話しても取り合ってもらえない、と本人が感じている場合は、我慢を前提にせず保護者が相談を担います。変更を考える際も、次に必要な条件を本人と確かめておくと、単なる好き嫌いの判断で終わらせずに済みます。

宿題が進まないのも相性の問題ですか

宿題が止まる理由を、量、難しさ、始め方、質問の必要性に分けて見ます。説明を理解していても予定に収まりにくい場合と、最初の問題から手が止まる場合では、相談する内容が違います。終えたかどうかに加え、どこまで自力で進めたかを伝えると、調整を頼みやすくなります。困った状態を隠さず話せて、その話が課題の出し方に反映されるかという点に、関係の質を見る手掛かりがあります。