- 日本の大学生の比較では、早く始めた組の強みは音の聞き分けに見られ、文法判断では組の差がありませんでした。
- ドイツの追跡では、早く始めた組と遅く始めた組の成績の順序が、測る学年によって入れ替わりました。
- スイスの研究は、開始年齢とともに、その後の授業の形や英語に接する量を読む必要を示しています。
- 家庭では、合格の時期、今できること、継続できる学習の機会を分けて記録します。
何歳から英語を始めるとよいか|英検4級を目指す小学生と開始年齢の研究
「長期的に、同程度の学習量を経た後では、開始年齢は言語の成果を予測しない」――Muñoz(2011)の研究抄録の一節を日本語に訳したものです。武蔵境から英検の会場へ子どもを送り出す保護者にとって、早く始めたことの意味を考える手掛かりになる言葉です。小学生のうちに級の取得を目指すなら、開始を早めるだけで、その後の英語力にも差がつくのでしょうか。始める年齢だけで決めず、本人が取り組める内容と、英語に触れ続ける機会がそろった時期を出発点にするのが、研究を踏まえた判断です。
早期に始めることには、英語と接する時間を積み重ねられるよさがあります。一方で、開始した年からの長さと、実際に聞いたり読んだりした量は同じではありません。音の違いが聞こえるようになること、文の形を判断すること、試験の目標を達成することも、別々に見ておきたい成果です。日本の学習者を調べた研究と、欧州で異なる開始時期を比べた研究をたどると、家庭で注目したいのは過去の出発点だけでなく、これからの続け方だとわかります。
要点
- 日本の大学生の比較では、早く始めた組の強みは音の聞き分けに見られ、文法判断では組の差がありませんでした。
- ドイツの追跡では、早く始めた組と遅く始めた組の成績の順序が、測る学年によって入れ替わりました。
- スイスの研究は、開始年齢とともに、その後の授業の形や英語に接する量を読む必要を示しています。
- 家庭では、合格の時期、今できること、継続できる学習の機会を分けて記録します。
早く始めることと、英語に長く触れることを分ける
英語を早く始めれば、後から始める子より学ぶ期間を長く確保できます。そのため、始めた年齢を尋ねること自体には意味があります。ただ、開始年齢だけを聞いても、途中で休んだ時期や授業以外で英語を使った機会までは見えてきません。学習歴を比べるときは、出発した時点と、その後に実際に学んだ道のりを別に確かめる必要があります。
例えば、早く始めていても、英語に触れるのが授業のときだけという場合があります。反対に、後から始めた子が、授業と家庭での活動の両方を続ける場合もあります。家庭で条件を点検するときには、こうした接触の違いを学習歴と一緒に並べます。カレンダー上の学習歴が長いかどうかに加え、その間に何を聞き、何を読み、どんなやり取りをしてきたかを見ると、比較の中身が具体的になります。
Muñoz(2011)は、授業を通して外国語を学ぶ環境で、開始年齢と学習量の長期的な関係を調べています。同程度の学習量を経た後の成果については、開始年齢が予測の手掛かりにならず、英語に触れる量には控えめながら統計的に意味のある関係が見られました。ここでいう学習量は、単に始めてから経過した年月ではなく、学習者への詳しい質問から捉えた接触の量です。家庭で学習歴を振り返る際にも、始めた日だけで説明を終えない読み方が役立ちます。
将来の目標を話すときも、開始年齢を変えようとする必要はありません。今ある学習の機会を並べ、続いている活動と途切れがちな活動を見分けます。すでに習っている子なら、以前の内容と現在の内容のつながりを確かめられます。これから始める子なら、生活の中に無理なく置ける活動を探すことが、具体的な準備になります。
日本の研究では、音の聞き分けに早期開始者の強み
Larson-Hall(2008)が調べたのは、日本の大学生です。英語を3〜12歳で始めた61人と、中学校の12歳または13歳で始めた139人を比べました。測ったのは、音の違いを聞き分ける課題と、文が文法に合っているかを判断する課題です。小学生の学習をその場で評価したのではなく、それまでの学習歴が異なる人の大学生時点の力を見た比較です。
Larson-Hall(2008)の組同士の比較では、早く始めた人のほうが音の聞き分けで高い成績でした。総学習時間の違いを統計的に調整した分析でも、この結果は残りました。一方、文法に合っているかを判断する成績では、早期開始の組と中学開始の組に統計的な差は見られませんでした。早い開始の利点を読むなら、英語力全体という大きな言葉でまとめず、音の聞き分けという測定内容に結びつけることが大切です。
また、Larson-Hall(2008)では、学習量の水準によって、開始時期の異なる組の関係も変わっていました。早期開始の利点は、十分な学習量が積み上がってから現れる可能性が示されています。早く始めた日そのものより、その後に学習を重ねた経過にも注目する結果です。幼い時期に始めたから将来の学習が不要になる、という読み方にはつながりません。
家庭の目標も、音の聞き分けと文を扱う力を分けて言葉にすると整理しやすくなります。聞いた言葉の違いに気づくことを喜ぶ子もいれば、文字を通して意味を捉えることに関心を示す子もいます。得意な活動を入り口にしながら、現在どんな課題に取り組んでいるかを残します。始めた年齢を評価するより、本人の中で変わった部分を見つける記録にすると、次に学びたい内容を話しやすくなります。
先に学んだ組が、その後も上回るとは限らない
Jaekelら(2017)は、ドイツで英語を学ぶ開始時期と接触量が異なる集団を追跡しました。第5学年では、早く始めた組の英語を理解する技能が、遅く始めて接触量も少ない組を上回りました。ところが第7学年には、遅く始めた組が早く始めた組を上回っています。出発時点の先行が、そのまま後の学年の優位として続くわけではなかったという結果です。
この追跡を読むときに大切なのは、どちらかの組の結果だけを取り出さないことです。Jaekelら(2017)は、同じ研究の中で測定時期による順序の変化を示しました。早く始めた組が先に学んだ内容を身につけていても、後の授業を通して集団間の関係は動きます。家庭で見る成績も、その時点の到達を表す記録として扱い、その後の伸びる余地と分けて考えられます。
「小学生のときに前を走っていたか」と「その先で学習が続いているか」は、家庭にとって別の確認事項です。すでに知っている内容を繰り返す時期には、本人が何を新しく学んでいるかを聞いてみます。逆に、後から始めた子が初めての内容に戸惑っているなら、前に学んだ子との速さの比較より、今の課題に必要な助けを確かめます。こうして目を向ける対象を変えると、開始時期を理由に子どもの力を固定せずに済みます。
早期学習の成果を大切にすることと、先行を守り続けようとすることも別です。学んだ内容を使ってみる機会が続けば、過去の学習と現在の活動をつなげて考えられます。先に始めたという理由だけで課題を増やすと、本人が今困っている箇所が見えにくくなることがあります。保護者が残す記録には、周囲より早いかどうかよりも、以前は難しかった内容を今どう扱っているかを置きます。
授業の形と継続条件をそろえて研究を読む
Pfenninger(2014)は、スイスのドイツ語を母語とする18歳の英語学習者を調べました。比較したのは、小学校から英語を使って教科内容を学び、その形を継続した人、小学校の後に通常の英語授業へ移った人、中等教育から異なる形で学び始めた人たちです。開始年齢だけでなく、英語を何のために使う授業だったか、その後も同じような接触が続いたかが異なります。読者が比べたいのも、単純な早い・遅いだけでなく、開始後の学習環境です。
Pfenninger(2014)では、英語に接する機会が週に数時間の授業に限られる場合、小学校からの開始が後の高い習熟度につながるという結果にはなりませんでした。小学校で英語を使って教科内容を学んだ後に通常の授業へ移った組は、ほかの組に並ばれたり、領域によって上回られたりしました。早期の学習と、その後も英語を使って学ぶ機会が続く条件を、合わせて読む必要があります。始める時期の話を、始めた後の授業や活動から切り離さないことが要点です。
| 研究 | 比べた相手・条件 | 主な結果 | 家庭で見る項目 |
|---|---|---|---|
| Larson-Hall(2008) | 日本の大学生の早期開始者と中学開始者 | 音の聞き分けは早期開始者が高く、文法判断の組間差はなし | どの技能を目標にしているか |
| Jaekelら(2017) | ドイツの開始時期・接触量の異なる集団 | 測る学年によって成績の順序が逆転 | 学習の途中と後の両方を見ているか |
| Pfenninger(2014) | スイスの開始時期と授業の形が異なる集団 | 早期開始だけでは高い習熟度につながらない | その後の英語との接触が続くか |
| Muñoz(2011) | 授業で学ぶ人の開始年齢と接触量 | 同程度の学習量の後は開始年齢が長期成果を予測せず | 経過した年月と実際の学習量を分けているか |
英検4級のレベルが気になるときは、目標と負担を分ける
級の取得を目標にすると、学びたい内容について親子で話すきっかけになります。本人が達成を楽しみにしているなら、その気持ちは学習計画を考える材料です。一方で、取得した年齢だけを長期の英語力の印にすると、今取り組んでいる内容や続けやすさが見えにくくなります。目標の達成と、後にも英語を学び続けることを、それぞれ確かめる形にします。
例えば、合否を気にするあまり、音声を聞くたびに正解を求められてつらい子には、試験に向けた課題を増やす進め方が合わない場合があります。習い事や学校生活で疲れが強い子にも、早い開始を優先して予定を足す前に、今の生活に置ける活動を探す余地があります。これは家庭で負担を見つけるための見方です。嫌がる場面が増えたら、英語そのものへの関心と、課題の難しさや大人の声のかけ方を分けて聞き取ります。
逆効果を避けるための目安として、学習後の様子も記録しておけます。取り組むたびに親子の衝突が続く、答えを外すことを強く恐れる、本人の希望を尋ねる機会がなくなる、といった変化は計画を見直すきっかけになります。ここで挙げた変化は、早期開始の害として研究で測られた結果ではありません。家庭で目標と負担を点検する際の観察項目です。
すでに早く始めている子には、これまで親しんだ英語の中で好きな活動を聞いてみます。これから始める子には、過去の開始年齢を埋め合わせる計画より、今取り組める内容を用意します。試験の予定を中心に据えるかどうかも、本人が何を目標にしたいかを聞いてから決められます。目標が本人の楽しみと結びついているか、学習を続ける余地が残っているかを、同じ計画の中で確かめます。
開始時期を決める前に、続ける条件を記録する
家庭での確認は、今ある英語との接点を書き出すところから始められます。授業で何をしているか、家庭で自分から触れるものがあるか、誰かとやり取りする機会があるかを並べます。その際、用意した活動と、本人が実際に取り組んだ活動を区別します。教材が手元にあることや予定表に枠があることと、英語を聞いたり読んだりしたことを分けるためです。
次に、始めたい活動の目的を短く書きます。音の違いに気づく、知っている言葉を読めるようになる、関心のある内容を英語で理解する、といった形なら、本人とも話しやすくなります。計画した後は、難しかった部分と自分から続けた部分を残します。研究の結果から家庭の最適な時間を計算するのではなく、生活に置いたときに何が起きたかを見て調整します。
- 今の学習で、本人が好きだと話す活動を記録した。
- 授業の外も含め、実際に英語に触れた機会を把握した。
- 課題が難しいときに、誰に助けを求められるかを決めた。
- 学校やほかの活動が忙しい時期の続け方を考えた。
- 合否のほかに、本人の変化を残す項目を決めた。
振り返りでは、できなかった項目の数だけで判断せず、取り組めた条件にも目を向けます。音声だけでは困ったが絵があると取り組めた、疲れている日は難しかったが余裕のある日は続けた、という記録も役に立ちます。大人が望んだ活動と本人が選んだ活動に違いがあれば、その理由を聞く材料になります。記録は子どもを採点するためではなく、次の計画を生活に合わせるために使います。
何歳からがよいかという問いへの家庭での答えは、取り組める内容と継続の条件がそろった時期です。早期に始める場合も、後から始める場合も、その後に英語に触れ続ける道筋を用意します。過去の開始時期より、現在の本人の関心と負担を確かめるほうが、今の選択に結びつきます。英語を始めた年齢とともに、今日から続けられる活動を記録していくことが判断の土台になります。
よくある質問
小学生のうちに始めなかったら、不利になりますか
開始の遅さだけで、その後の成果を決める必要はありません。Muñoz(2011)では、同程度の学習量を経た長期の成果を、開始年齢は予測しませんでした。家庭では、以前にできなかった学習を急いで詰め込むより、現在取り組める内容と英語に触れる機会を確かめます。すでに得ている知識や本人の関心を出発点にして、次に学ぶ内容を選ぶという考え方です。
早く始めているなら、今の学び方を続ければよいですか
始めた時期に加えて、その後の活動が本人に合っているかを見ます。Pfenninger(2014)の比較でも、早期開始の後にどのような授業へ進んだかが、結果を読むうえで重要でした。家庭では、以前と同じ内容が続いているか、新しい内容に困っているか、好きな活動が残っているかを確かめます。継続は予定を変えずに守ることだけではなく、生活や学習内容に合わせて形を調整することも含みます。
試験で目標を達成した後は、何を見ればよいですか
達成を喜んだうえで、本人が次に扱いたい内容を聞いてみます。音を聞く、文章を読む、知っている表現を使うといった活動の中で、続けたいものを選ぶきっかけになります。目標の達成だけで学習の記録を終えず、その後も取り組めた内容を残すと、英語との接点を追いやすくなります。級を取った時期に加えて、日々どのような英語に触れているかを、家庭での振り返りの中心に置きます。
この記事の限界
適用範囲は、日本の大学生の学習歴の比較と、ドイツ・スイスなどの授業環境における開始年齢や接触量の研究です。対象年齢、授業の形、測定までの経過が異なり、日本の小学生の英検合格年齢や、早期取得による長期的な利益を直接測った研究ではありません。
家庭での記録手順は、これらの比較を読む視点から組み立てた提案であり、効果を実験で確かめた学習計画とは区別します。英語への不安や課題の負担が続く場合には、取り組んだ内容とそのときの様子を学校の先生や学習支援の専門家に伝え、本人に合う進め方を具体的に考えます。 始めた年齢を気にする前に、本人が今も続けたい英語との接点は何かを聞いてみませんか。
参考文献
- Larson-Hall J. Weighing the benefits of studying a foreign language at a younger starting age in a minimal input situation. Second Language Research. 2008;24(1):35-63. doi:10.1177/0267658307082981
- Jaekel N, Schurig M, Florian M, Ritter M. From Early Starters to Late Finishers? A Longitudinal Study of Early Foreign Language Learning in School. Language Learning. 2017;67(3):631-664. doi:10.1111/lang.12242
- Pfenninger SE. The misunderstood variable: Age effects as a function of type of instruction. Studies in Second Language Learning and Teaching. 2014;4(3):529-556. doi:10.14746/ssllt.2014.4.3.8
- Muñoz C. Input and long-term effects of starting age in foreign language learning. International Review of Applied Linguistics in Language Teaching. 2011;49(2). doi:10.1515/iral.2011.006
わからなくなった単元まで、講師と二人で戻ってやり直す。
- 向く人: 集団授業で質問できないまま進み、どこでつまずいたのか分からなくなった中学生・高校生
- 向く人: 苦手な科目を、つまずいた単元まで戻って一対一でやり直したい人
- 向かない人: 大勢と競い合う中で力が出る子や、集団授業の速い進度を求める人
- 向かない人: 塾に通うだけで成績が変わると考え、家で手を動かす時間を取れない人
このサイトは武蔵野個別指導塾へ案内する運営者が制作しています。武蔵野個別指導塾は武蔵境駅から徒歩30秒、完全1対1の個別指導塾です。
よくある質問
小学生のうちに始めなかったら、不利になりますか
開始の遅さだけで、その後の成果を決める必要はありません。Muñoz(2011)では、同程度の学習量を経た長期の成果を、開始年齢は予測しませんでした。家庭では、以前にできなかった学習を急いで詰め込むより、現在取り組める内容と英語に触れる機会を確かめます。すでに得ている知識や本人の関心を出発点にして、次に学ぶ内容を選ぶという考え方です。
早く始めているなら、今の学び方を続ければよいですか
始めた時期に加えて、その後の活動が本人に合っているかを見ます。Pfenninger(2014)の比較でも、早期開始の後にどのような授業へ進んだかが、結果を読むうえで重要でした。家庭では、以前と同じ内容が続いているか、新しい内容に困っているか、好きな活動が残っているかを確かめます。継続は予定を変えずに守ることだけではなく、生活や学習内容に合わせて形を調整することも含みます。
試験で目標を達成した後は、何を見ればよいですか
達成を喜んだうえで、本人が次に扱いたい内容を聞いてみます。音を聞く、文章を読む、知っている表現を使うといった活動の中で、続けたいものを選ぶきっかけになります。目標の達成だけで学習の記録を終えず、その後も取り組めた内容を残すと、英語との接点を追いやすくなります。級を取った時期に加えて、日々どのような英語に触れているかを、家庭での振り返りの中心に置きます。