- 進学塾は、入試に向けて学習を先へ進めたり、出題に合わせた準備をしたりすることを主な目的とする呼び方です。
- 受験の準備と学校の理解は、切り離して考える必要はありません。
- Matsuoka(2015)は、日本の高校1年生の全国データから、学校の社会経済的な構成と学校外学習への参加の関連を調べました。
- Bray(2006)は、日本を含む東アジアや他地域の学校外の補習を比較教育の立場から論じています。
進学塾と補習塾は何が違うのか|塾の種類を目的で比較するQ&A
武蔵境駅北口で塾の案内を見比べるとき、「進学塾」と「補習塾」のどちらが子どもに合うのか、名前だけで判断してよいのでしょうか。受験は考えていても、まず学校の授業をわかるようにしたい家庭なら、両方の言葉が気になるはずです。違いの中心は、入試に向けた準備を主にするか、学校で習う内容の理解を補うことを主にするかという目的です。 両方を兼ねる塾も多く、名前だけでは日々の学習内容まで決まりません。日本の研究を手掛かりに、名称と学ぶ目的を分けて考えます。
進学塾と補習塾は、何を目指す名前ですか
進学塾は、入試に向けて学習を先へ進めたり、出題に合わせた準備をしたりすることを主な目的とする呼び方です。補習塾は、学校の授業で理解しきれなかった内容を補い、習ったことを使えるようにすることを主な目的とします。どちらも学習を支える場ですが、授業で優先する課題が違います。「進学」は子どもの能力の高さを、「補習」は能力の低さを表す札ではありません。
| 比較する点 | 進学を主な目的にする場合 | 補習を主な目的にする場合 |
|---|---|---|
| 学習の基準 | 目指す入試で必要になる内容 | 学校で学ぶ内容と本人の理解 |
| 主に扱う課題 | 先の単元や入試に合わせた演習 | つまずいた単元の説明や練習 |
| 確かめたいこと | 前提となる内容を理解して進めるか | 理解した後に次へ進めるか |
受験のためなら、先へ進むことが大切ですか
受験の準備と学校の理解は、切り離して考える必要はありません。応用問題に取り組むために、前に習った内容へ戻ることもあります。補習を通じて土台を整える時間も、入試を目指す学習の一部になります。反対に、学校の内容を理解している子には、その先で何を扱うのかが大事になります。
Yamamoto・Brinton(2010)は、日本のデータを使い、試験と教師の判断の比重が異なる進学の段階を比べています。着目したのは文化資本、つまり家庭で身につく知識や文化への親しみ、本などの学びに関わる資源です。こうした資源が進学に関わる仕組みを、評価のされ方と結びつけて検討しています。塾に求める役割を考える際にも、試験の問題を解く準備と、学校での学びを支える働きを区別する視点が役立ちます。
実際の学習内容を読むときは、「受験対応」という表示に加えて、理解が止まったときの扱いを見ます。先へ進む計画でも、必要に応じて戻れるなら、補習の役割を含んでいます。学校の内容を中心にしていても、理解が進んだ後に入試へ向けた課題を扱うなら、進学準備につながります。名称の二択より、今の課題にどちらの役割が必要かを考えると整理しやすくなります。
周りの子が通う塾を選べば安心ですか
Matsuoka(2015)は、日本の高校1年生の全国データから、学校の社会経済的な構成と学校外学習への参加の関連を調べました。社会経済的な背景とは、家庭の経済状況や保護者の学歴などに関わる条件です。そうした条件が高い学校の生徒は、低い学校の生徒に比べて学校外の学習に参加しやすい傾向がありました。無償の補習の場合には、学校の構成による差が比較的弱くなるという結果でした。
この結果を選び方に引き寄せると、「周りが通っている」という情報には、学びたい内容だけでなく、通える条件も重なっていると考えられます。同じ学校の友人が選ぶ目的と、本人が必要とする支えは、分けて聞いてみるとよいでしょう。たとえば、友人は入試演習を求めていても、本人は授業中に残った疑問を解消したいのかもしれません。友人の選択は参考にしながら、本人の困りごとを別に言葉にすることが大切です。
名称以外に、家庭で何を確かめますか
Bray(2006)は、日本を含む東アジアや他地域の学校外の補習を比較教育の立場から論じています。家庭の資源が豊かなほど、学習機会の量だけでなく質も確保しやすく、それが格差を広げうると指摘しています。これは進学塾と補習塾に子どもを振り分けた実験ではなく、学習機会のわかれ方を考える論考です。塾の種類を選ぶ際にも、周囲と同じ量を求めるより、必要な内容が含まれるかに目を向ける理由になります。
家庭での確認項目としては、本人が説明を聞きたい内容と、自分で取り組みたい内容を書き分ける方法があります。先取りの課題を前に手が止まる子なら、前提となる内容へ戻る時間があるかを確かめます。基礎の練習を自力で進められる子なら、その練習の繰り返しだけで学習が終わらないかを見ます。どちらの目的でも、本人の状態とかみ合わない課題を増やすと、疑問を解消する時間が圧迫されるおそれがあります。
- 最近の課題で、説明が必要だった箇所を拾います。
- 学校の理解を補いたいのか、入試に向けて先へ進みたいのかを本人と確かめます。
- 学習案内の内容が、その目的に対応しているかを照らし合わせます。
- 目的を変えたくなったときに、内容をどう見直すかを聞きます。
よくある質問
補習塾を選ぶと、受験を諦めることになりますか
補習は学校の理解を補うという目的を表し、進学先の希望を制限する言葉ではありません。受験に必要な学びへどうつなげるかまで確かめると、今の補習の位置づけが明確になります。
成績がよい子なら、進学塾が合いますか
成績だけでなく、本人が次に取り組みたい内容と、授業で扱う課題が合うかを見ます。得意な教科は先へ進み、疑問の残る教科は理解を補うように、目的を教科別に考えることもできます。
両方を兼ねる場合は、どこを見ればよいですか
普段は何を優先し、学校の内容に戻る必要が出たらどう扱うのかを確かめます。両方に対応するという表示に加えて、本人の課題に応じて配分を変える説明があるかが判断材料になります。
この記事の限界
比較した研究の焦点は、日本の生徒の学校外学習への参加、進学段階での評価、家庭の資源による機会の違いです。進学塾と補習塾を同じ条件と期間で比べた成績改善の試験ではないため、どちらがどれだけ伸びるかは示していません。高校生の参加傾向や複数地域を扱う論考から、武蔵境の個々の小中高生に合う目的まで決めることはできません。理解のつまずきが続く場合は学校の先生にも学習状況を聞き、本人の課題と必要な支えを対応させて判断することが大切です。 今の答案で説明が必要な箇所と、入試に向けて先へ進みたい内容のどちらを、本人は先に扱いたいと話しますか。
参考文献
- Matsuoka R. School socioeconomic compositional effect on shadow education participation: evidence from Japan. British Journal of Sociology of Education. 2015;36(2):270-290. doi:10.1080/01425692.2013.820125
- Yamamoto Y, Brinton MC. Cultural Capital in East Asian Educational Systems: The Case of Japan. Sociology of Education. 2010;83(1):67-83. doi:10.1177/0038040709356567
- Bray M. Private supplementary tutoring: comparative perspectives on patterns and implications. Compare: A Journal of Comparative and International Education. 2006;36(4):515-530. doi:10.1080/03057920601024974
わからなくなった単元まで、講師と二人で戻ってやり直す。
- 向く人: 集団授業で質問できないまま進み、どこでつまずいたのか分からなくなった中学生・高校生
- 向く人: 苦手な科目を、つまずいた単元まで戻って一対一でやり直したい人
- 向かない人: 大勢と競い合う中で力が出る子や、集団授業の速い進度を求める人
- 向かない人: 塾に通うだけで成績が変わると考え、家で手を動かす時間を取れない人
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よくある質問
補習塾を選ぶと、受験を諦めることになりますか
補習は学校の理解を補うという目的を表し、進学先の希望を制限する言葉ではありません。受験に必要な学びへどうつなげるかまで確かめると、今の補習の位置づけが明確になります。
成績がよい子なら、進学塾が合いますか
成績だけでなく、本人が次に取り組みたい内容と、授業で扱う課題が合うかを見ます。得意な教科は先へ進み、疑問の残る教科は理解を補うように、目的を教科別に考えることもできます。
両方を兼ねる場合は、どこを見ればよいですか
普段は何を優先し、学校の内容に戻る必要が出たらどう扱うのかを確かめます。両方に対応するという表示に加えて、本人の課題に応じて配分を変える説明があるかが判断材料になります。